メンバーの言いたい放題 | 21 |
Maryはるみの 愛犬日記4
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葉月の哀しみと慈愛 | |||||||||||||||
ジャズが我が家に来る時は、7ヶ月になった葉月が快くジャズを受け入れてくれるかどうか心配でしたので、葉月を工房から少し離れたサークルに入れて様子を見ることにしました。工房の中に入ってきたジャズは、そこが安全な場所どうかを確認するために部屋中をかぎ回って点検していました。ジャズが落ちついてきたところで、葉月を連れてきましたら、自分よりずっと大きい葉月に驚いて、ジャズはかなりの緊張をしたようです。しかし、葉月の方は、私たちの想像を超える行動を起こしたのです。自分のボールをくわえてきたかと思うと、ジャズの目の前にポトンと落としてやり、「ボールで遊びなさい。貸してあげる。」と言っているようでした。それでもジャズは少しだけ抵抗の様子を見せたので、葉月は、すかさずジャズの後ろからのしかかり、「ここでは、私のほうが上なのよ。」とたしなめてから、自分の優位をジャズに分からせると、それからは妹のように歓迎し可愛がるようになりました。私たちには、ツンとすましていた葉月が、ジャズに対しては慈愛溢れるやさしい振る舞いを見せたのです。私たちは、葉月のやさしい振る舞いに感動すると同時に、葉月の心の広さに驚かされました。それからは、ジャズの躾が始まりましたが、ジャズを叱るたびに、葉月がなかに割って入ってお座りし、叱っているお父さんに体を寄りかけながら、「私に免じて、どうぞジャズを叱らないでね。」と見上げながら訴えてジャズをかばうようになりました。 葉月にとっては、やっと家族が出来たのでしょう。今まで一人だと思っていたのが、突然可愛い妹ができたのです。ジャズがやって来てしばらく、葉月は、少しずつ心を開くようになり、私たちに対する冷たい態度にも変化が見えてくるようになりました。私たちは、いつも葉月の優位を保ちながら、葉月とジャズを同じように可愛がりました。ジャズを可愛い可愛いとなでたり、遊んでやったりしている様子を見て、葉月は実は自分も同じように可愛がられていたんだということが、やっと理解できてきたようでした。おそらく、葉月の冷たさは、35日目に親元から引き離された時の哀しみが頭の片隅に潜在的に残されて、自分でも理解できないままに私たちは嫌な人間だという観念が植え付けられ、素直になじめなかったのではないかと解釈しています。 今でも、お客様がいらっしゃると大喜びでお迎えするのは、葉月です。誰にでも、満遍なく自分の愛情を表現し、可愛がってもらうすべを知っています。近所の人や登下校の小学生には、知らない人はいないくらい人気のある葉月です。そして、今は、みんなが一つの家族となりました。 疲れてぼんやり座っていると、いつのまにかそばに寄ってきて体をくっつけてどうしたのとやさしく慰めてくれるのは、いつも葉月です。
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