Paul河谷の独断PP&M名曲勝手考



5.Leaving On A Jet Plane (John Denver)

 荷造りも終りあとは出て行くだけ。君の部屋のドアの外に立って。さよならを言うために眠っている君を起こすに忍びない。空も白みもう夜明けが近い。ああ、タクシーが来てホーンを鳴らしている。もう泣きたいほどの寂しさだ。
 だから僕にキスをして、僕に微笑みかけて、待っているわと言っておくれ。僕を行かせない様にしっかりと掴まえておくれ。ジェット機に乗って行く僕を。いつ帰ってくるのか分からない僕を。こんなにも行きたくない僕を。・・・
 そんなに行きたくないのに、どうして眠っている恋人を置いて出て行ってしまうのでしょう。
 ジョン・デンバーによるこの曲をPP&Mが取り上げたのは1967年にリリースされたAlbum 1700の中でしたが、この曲が全米ヒットチャートの1位となったのは1969年の冬のことでした。同じ年の11月のワシントンでの反戦統一行動から5年半が経過した1975年4月30日、ベトナム戦争は終結しました。
 どこに行っても君のことを想い、どんな歌を歌うときも君のために歌うと言っていた彼。一人ぼっちで出発しなくても良くなる日を夢見て、恋人を残してジェット機に乗った彼は、無事に帰って来たのでしょうか?彼女に贈る婚約指輪を持って。
 この曲を聴くとき、そして演奏するときもはいつも、明け方の薄明かりの中でこの曲の主人公が、大きな荷物を持ってタクシーに乗る前に彼女が眠る部屋の窓を見上げている光景が目に浮かびます。まるで映画の中のシーンの様に。なぜか彼女の寝室は2階なのですが。
 それにしても、マリーさんがリードを取るこの曲に美しく絡むピーターとポールのハーモニーの物悲しさは、まさに戦場に赴く男の胸の内なのでしょうか。3人のコーラスを劇的に盛り上げるディックのベースも重くそしてとても悲しそうに響きます。

(2004年6月河谷徹孝)
 

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