Paul河谷の独断PP&M名曲勝手考 |
4.Don't Think Twice, It's All Right (Bob Dylan) 今さら座り込んで「なぜなの?」なんて悩んでも仕方がないんだよ。明け方に窓から外を見てごらん。僕の姿は君の視界から消え去っている。僕が旅を続ける理由は君にあるんだ。でも、くよくよと考え込んだりしなくたっていい。これでいいんだよ。今更明かりを燈して僕を迎え入れようとしたり、大声で僕の名前を呼んだりしても無駄だよ。そんなこと一度もしてくれたことなんてないのに。・・・ 名曲と呼ばれる曲には失恋の歌が圧倒的に多い中で、ボブ・ディランのアルバムTHE FREEWHEELIN'で紹介されたこの曲は、恋人を捨てて去って行くクールな男の歌なのでしょうか?いや、いや、いや。それでは、あのポールの(そしてボブ・ディラン自身の)哀愁に満ちた胸に沁みるヴォーカルの説明はつきませんね。「やっぱり君のそばに居よう。」と僕が思い直すようなことをして欲しかった。言って欲しかった。僕が歩むのは行く当てもない長い孤独な道のり。旅を続けながらずっと、みんなは子供だと言うけど僕が愛した女性、僕の心だけでは足りず魂までも欲しがった君の事を忘れられない。・・・ 「君は僕の大切な時間を無駄にしただけなんだよ。」とは何たる負け惜しみ。そう、くよくよしているのは去って行くこの男自身でしょう。なんとも辛くて素晴らしい失恋ソング。勝手にそう思い込んで歌い始めたのが高校1年の時でした。あの頃はフィンガー・ピッキングに魅せられて始めた曲でしたが、私自身愛唱し続けて36年。この曲は間違いなくPP&M名曲十選に、そしてポールの名ヴォーカルの筆頭に挙げたい曲です。フィンガー・ピッキングの古典となった二人のギターについては、もう何も言う必要はありませんね。 それにしても、ポールのソロから、ピーターが加わりマリーが加わって行く後半の盛り上がりはどうでしょう。まるで最初はクールを装っていた男が次第に感情を素直に吐露して行く様そのものではないですか。 [*注:私は、a child I'm told のchildは、(訳詞に見る)自分のことではなく、彼女のことだと”独断で”解釈しています。] (2004年5月河谷徹孝) |
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