Paul河谷の独断PP&M名曲勝手考
3.Early Morning Rain 朝の雨 (Gordon Lightfoot)
目の前に情景が浮かんでくる曲というのはそんなに多くはありません。例えばグレーハウンド・バスの座席に座って眺める夕暮れ時のハイウェイの景色を髣髴させるサイモンとガーファンクルの"America"のような。PP&Mが歌う朝の雨はまさにそのような曲の一つです。
雨の降る朝、飛行場の金網の外から飛び立つジェット機を眺めながら恋人に、遠く離れた我が家に、思いをめぐらす傷心の男。現代のホーボー(放浪者)でしょうか?少し違うようですね。I'm a long way from home and I miss my loved one so.そう、愛しい人の待つ家に帰りたいけど帰れないのが辛いところなのです。目の前で西へと飛び立つ銀翼は3時間もすれば我が家の上空を通過すると言うのに。舗装もされない原っぱに佇むだけ。寒さと二日酔いでぼろぼろ。飛行場になんか来るんじゃなかった。よけいに気が滅入ってしまった。貨物列車に跳び乗ってでも帰りたいけど、ジェット機じゃあ跳び乗る訳にも行かない。歩き続けるとするか。この朝の雨の中を。
帰っておいでと恋人が送ってくれた乗車券を昨夜の賭けで失い、列車に向かって連れて帰っておくれと頼むSteel Rail Bluesという曲の主人公は、同じ男に違いありません。どちらもGordon Lightfootという名前だから当然ですね。
それにしても、ここまで効果的に歌を引き立てるリード・ギターというのはめったに聴けるものではありませんね。
(2003年5月河谷徹孝)
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