Paul河谷の独断PP&M名曲勝手考



1.There But For Fortune (Phil Ochs)

 カナダのシンガー&ソングライターPhil Ochs(フィル・オクス)の筆によるこの曲は、PP&Mの1983年のアルバム"Such Is Love"の中でライブ録音を聴くことが出来ます。"There but for fortune, go you or go I." は"You or I may go there without fortune." と言い換えることが出来ますね。
 私にはこのリフレインが決して単なる運命論的なメッセージではなく、「運に恵まれなければあなたも私もいつそこに(苦境の只中に)身を置くことになるかも知れない。」と繰り返しながら、悲惨な境遇に晒される不運に見舞われた人々や地域に真摯に目を向け、その苦しみや悲しみを共有するように訴えているような気がします。塀の中で刑期をつとめる青ざめた顔の囚人、路地裏を彷徨い貨物列車で放浪の旅を続ける若者、飢えと衰弱の中で希望を失った子供たち、そして空襲で廃墟と化した街や国土。これらは決して他人事ではないのです。あなたも私もただ運に恵まれているだけなのです。その原因を作った責任はすべての人間にあるのです、と。
 それにしてもPP&Mのこの心の奥深くまで届いて来る迫真のコーラスと歌詞の持つメッセージに完璧に融合した楽器のアンサンブルはどうでしょう!

(2003年5月河谷徹孝)

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